沖之須牧場とは

はじめに

遠州灘の近くに沖之須牧場株式会社は完成しました。
この牧場の歴史は日本が焦土と化した第2次世界大戦が終わった川崎市に始まります。
戦後、荒れ果てた街には飢えに苦しむ人々が溢れ、生まれた赤ちゃんを抱えた母親は、食糧難から満足に母乳も出なくてとても困っていました。
その困窮する姿を見た篤志家、有馬茂氏は、川崎市等々力に「有馬牧場」を開設し、搾った牛乳を「10円牛乳」として主婦連と協力して、当時としては画期的な「産地直売方式」で販売して母親に喜ばれていました。
その後、ほかの土地でも牧場を開設したいと、東海道線に適した土地を探していた際に、横須賀町沖之須にあった土地を紹介され、昭和41年に当時では最大規模の繋ぎ50頭の牧場「有馬農園」を開設しました。
開設にあたり川崎市等々力の牧場で働いていた自分が農場長として来ることになり、幼い我が子の手を引いて初めて沖之須の地を踏んだことは今でも忘れることはありません。
その後、残念ですが等々力の「有馬牧場」は都市化の波から惜しまれながら閉鎖され、その跡地は市民公園になっています。
沖之須の「有馬農園」は半世紀に渡り続くことになりましたが、農場長として派遣された自分も齢80歳を超え、川崎市の有馬家も世代が移り、沖之須の「有馬農園」も閉鎖を考えるようになりました。
その話を聞いた浜名酪農業協同組合、伊藤組合長が、衰退する地域の酪農を再興するためにも、同じ場所で牧場建設を決心して2年の歳月をかけて2019年春、搾乳頭数300頭の牧場を完成しました。
今回、このような形で牧場を残せたことは、私に「有馬農園」を任せてくれた先代の御意志でもあり、この牧場が延々と続いてくれることを楽しみにしています。
日々進化していきたく考えておりますので、皆様のお力をお貸しいただければ幸いです。

沖之須牧場株式会社 相談役 川内 勤


施設概要

牛舎

フリーバーン式の横210m、横16mの細長い牛舎には、搾乳牛、乾乳牛、分娩直後牛、乳房炎等の治療牛などに区分しています。
片方側の通路にTMRセンターで製造された新鮮な飼料が届けられ、反対の通路の水槽には地下から汲み上げた冷たい水があふれています。
天井の高さは6.7mもあり、天井に設けた1mの開口部から新鮮な空気を約200台の換気扇で床に向かって送っています。
場内には自動カメラを設置して、遠隔でも牧場内を観察することができ分娩などに対応しています。

パーラー

横32m、縦15mのパーラーには100頭の待機所とデラバル社製のパラレル型12頭ダブルの最新式パーラーがあり、1時間4回転、300頭の搾乳を4時間以内で作業しています。
乳牛1頭ごとの乳量、乳質などデータが瞬時に事務所に送られています。

子牛舎

北海道から初妊牛を購入してきており、毎月30頭の子牛が生まれます。その子牛を2ヶ月、育成して出荷しています。
温度、湿度管理されたビニールハウス内で約60頭の子牛が個別に大切に育てられています。

事務所

横12m、縦15mの2階建、1階にはバルクタンクや真空ポンプなどがあり、2階に事務所と宿泊スペースがあります。
搾乳牛が300頭以上常在していますが、総務が乳牛の個体管理を行っており、1頭ごとの搾乳や繁殖成績を細かく管理することができ、わずかな無駄も出ないように経営しています。

研修・宿舎

事務所には、宿泊できる部屋が3部屋、シャワー室、食堂なども完備して、食事の手配もでき、短期でも長期でも研修できるようにしてあります。
すでに学生達が数日から数ヶ月の研修を受けており、その期間に外部講師による実習や講義を受けています。
牧場に就職を希望される方には、まずは数日の職場体験をしていただいて、お互いに判断をするようにしています。

会社概要

施設概要

会社名 沖之須牧場株式会社
設立 2017年6月
創業 2018年11月
代表者 代表取締役社長 西川 豊貴
取締役場長   吉越 崇裕
資本金 1635万円
営業品目 乳牛の生産・育成・繁殖
所在地 静岡県掛川市沖之須2152番地-1
TEL 0537-64-7017
FAX 0537-64-7018